平行線上のモラトリアム、垂直線上のストイシズム/崎谷はるひ
- 作者: 崎谷はるひ,高永ひなこ
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2007/06/01
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だがさすがにしげしげ見られるのは居心地が悪く、眉をひそめた弥刀に、朋樹は言った。
「俺、けっきょく童貞なんすよね」
「あ、まあ、そうなる……かな」
相変わらずの淡々とした風情でいるから、朋樹がなにを言いたいのか弥刀にはわからなかった。そして、ベッドサイドに膝をついた彼が放ったあっけらかんとした言葉に、呆然となる。
「やられっぱなしはなんか性に合わないんで、そのうちやらしてくんねえ?」
「……は?」
(中略)
「まあだから、あんたでいいかなって」
「で、って……微妙に失礼なことを言われた気がすんだけど、それ」
「なんでだよ?」
「とりあえず、俺が今まで見てきた人間のなかで、あんたがいちばん色気あると思ったから、言ったんだろ。やるんなら、俺は、弥刀さんがいい」
「……え?」
「つか、あれ? それって失礼なのか? よくわかんねえけど」
平行線上のモラトリアム より
「いろいろ、ふつうの反応、してやれなくて、ごめんな」
もう一度、かぶりを振る。もうこれ以上はいらない、そう思ったのに、朋樹は弥刀の手を取って、きつく握った。
「あのな、弥刀さんの撮るものは、俺にとって、花なんだ」
「朋樹……?」
「前にも言ったろ。なんもかんもくだらねえって思って、なに見てもつまらねえって感じてたあのころに、あんたの撮ったものだけ、俺に届いた」
あの感動はおそらく、言葉にしても伝わらないのだろうなと、朋樹は少しはにかんだように笑った。
「ああ、まだものをきれいだと思える、まだ俺は終わってない、そう気づかせてくれる花なんだ。だから、俺はあんたの映像が好きだし、それを撮った弥刀さんの感性そのものが、とても好きなんだ」
垂直線上のストイシズム より
なんとも不安の残るカプルでしたが嫌いになれません。特に朋樹の、ツンしてるわけでもないビシバシぶりが。そのうえ新米警察官になっちゃったりするんだからたまりません。朋樹視点の話も読んでみたいものです。たぶん、本人気づいてないだけで警察寮でもモテまくってるに違いねえよ。
このシリーズであと1作出るみたい?なんですかね。崎谷作品もだいぶ読んだのでここらで一覧整理でもしなきゃ。どれ読んだか・どれがよかったか忘れそう(笑)。
↑もともとの本編、知靖×藍。藍がアンアン言いまくりでかわいこちゃん受がツボじゃない私はちょっとヒキました(笑)。ボリュームあるので読み応えはあります。セレブ攻が好きな人もいいのでは。タイトルの覚えづらさは、慈英&臣シリーズに匹敵します。何度見ても覚えられん……。