ケラリーノ・サンドロヴィッチ「どん底」 @シアターコクーン


http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/08_donzoko/index.html

なんで観に行きたくなったかっていうと、以下の記事の紹介を読んだからです。

「今の自分は、観客動員を増やすとか、褒められることに興味はない。岸田が死んだのは、彼が演出した『どん底』の初日だった。今回の作品は、岸田にささげたい。私の最後の作品になっても悔いのないように取り組む」
祖父、父ともに50代で亡くなる短命の家系であるため、45歳の今を晩年と称するケラ。連日、命を削るような、ハードなけいこに臨んでいる。
     shinの観劇Log@小劇場系 さまより 読売新聞記事抜粋
     http://shin-tan.seesaa.net/article/93076854.html

こんなこと言われちゃあさあ!観たくなるにきまってる。で、行ったわけなんですが、うーんそこまでではなかっ、た かな………すいません(笑)。ヴァージニアウルフ(http://d.hatena.ne.jp/noraneko244/20060612#1150132316)の方が好きでした。もちろん狂言回しの爺な段田さんはすばらしく芸達者だったし、帽子屋と男爵のやりとりとか、宿に住まう男たちの関係とかは楽しかったんだけどさ。それだけに、長いし散漫になったのかも。一番印象に残ったのは意外と哲学かぶれと巡礼爺の会話。帽子屋もあっさりしててかわいかったな。山崎さんも荻野目さんも緒川さんもうまかった!ほんとうに役者さんは素晴らしく表現していたと思います。隣りの席のオバチャンが山崎さんファンらしくて、山崎さんが喋ったときに一人だけ「うひゃひゃ!」とか「あははh!」とかけたたましくするのが微妙でしたけど……。
住む人物が多少出たり入ったり入れ替わっても、「どん底」に住む人たちは相変わらず気ままに、時には諦めの境地で時には希望を持って生きていくわけですね。でも、ラストのオチがどうだったか、思い出せないくらいにおぼろげ、というのはどうなんだろう……。

ある木賃宿に、人生へのあきらめしか持ち合わせていない住人たちが巣食っている。アルコール中毒の元役者、哲学かぶれ、鍛冶屋と、今にも病死しそうなその妻、文句ばかりの帽子屋、男性不信の饅頭売りの女、恋物語の妄想にふける娼婦、気取った元貴族、賭け事に興じる警官、そして夜な夜な集まる労働者や浮浪者たち……。強欲な木賃宿の大家夫妻に悪態をつきながら、お互いにいがみ合いながらの生活。最近の住人たちの興味は、若い泥棒と、木賃宿の妻との不倫の関係が終わるのではないか、ということだった。男は、こんな状況の中でも純粋さを忘れない妻の妹に惹かれ始めている。
不穏な空気が漂う中、謎の男が現れる。その男はしばし木賃宿の面々を観察したのち、皆に?新しい世界?を説き始める。「人間は、変わろうと思えば、いつでも変われるんだ」と。悲惨な状況でもどこか享楽的で楽観的な空気が漂っていた木賃宿の日常のバランスが崩れ始める……。