山のあなた〜徳市の恋 @MORE試写会 東京商工会議所


観終わってから、目を閉じるといろんな場面や風景、セリフ、声、色、音、そういうのが次々と鮮やかに浮かびあがってくる。そういう映画がだいすきです。カラー版「按摩と女」、よかったよ!!!!! あ〜パンフとかポストカードとか映画のコマ割りの写真とかなんでもいいから高画質で手元にほしい。見てるだけでたのしい色合い。

(シンポジウムレポとオリジナル版「按摩と女」の感想はこちら→ http://d.hatena.ne.jp/noraneko244/20080417#1208448753



以下石井版のネタバレ感想です。

  • かなりいろいろ足されて印象変わってたなー。オリジナル版を観たばっかだからそう思うのだろうか。二人の男との淡い恋の交流の面はともかく、細かいとこはオリジナル版でわかりにくかった部分が補完されてわかりやすくなってたと思。すれ違った美千穂が逃げてくとこの足音とか、美千穂が盗んだんじゃないかと疑うに足る窃盗事件の流れとか。
  • なにはともあれ、徳さんえろい!色っぽい、男っぽいのに色気があるの。いちばんぐっときたのはケンカした翌朝の寝起き姿です。観音屋で盗難事件があったと福市から聞いて慌てふためくあそこです。なにあれ!生傷とぷるるんピンクい唇のコラボレーション!?ハアハア
  • ケンカ直前の男前啖呵が〜かっこいいよう〜。身を斜めにして、杖を前に出して構えるの。どうせならテイヤー!って杖で突っつきやっつけてるとこも観たかったかも、いや勝手に脳裏で妄想できるからいいんですけどw
  • 美千穂の反応をわかりやすく付け足してたので、謎のおんな部分が減ってた……のだけが残念かな。んでもマイコちゃんはほんとに美しかった。去っていくときの美千穂の顔がさみしそうで、吹っ切れてなくて、そういう意味でカヴァー版の美千穂は「徳市の見えない眼」よりも「旦那さんの獣のような眼」にまだ囚われているままのように思えた。「逃げ切ってやる!」と決意を新たに旅立っていったんだからよかったんだろうけど。それにしても「けだもののような眼」ってすげえ台詞だ……。
  • オリジナル版観て楽しみにしてた真太郎が帰るシーン。真太郎は前夜の橋の上でかんぺきふられたかたちに演出されてた、です。そっかあ、ふられたから別れのあいさつに行きにくいって要素が強いわけか。なのではっきりしたので、感情の揺らぎはそんなに見られなかった。そのへんも含め、「山のあなた」版の男たちはちょっと弱気でなさけなくて、押しが足りない、でも愛らしいかんじ。
  • 按摩5人衆はオリジナル版より目立ってたv好きな集団なのでうれしー限り。ないしょないしょなーいしょ♪の天丼には場内みんなヤラれっぱなしでした。かわいいなおまえら!
  • 期待してた付け足しの走りシーンも軽くホラーながらも緊迫感があっていい、やっぱ後半の畳みかけが見事です。前回オリジナル版を観ての私的好きシーンはどれも文句なしにカヴァーされてて楽しめた。自然の、淡いカラフルな色合いはほんときれいだしね。
  • 最後、なりふり構わず駆け出す剛版徳市もよかったんですが、それ以上にそのあとの美千穂を見送る徳さんのせつない様子にキュンとしました(会場ではなぜか走り去る徳さんとこで笑いが出てましたけど、笑えねえよう、せつないよう!) 見送り場面のアップの表情と、あと雨音の演出がラストとしてすばらしかった!盲目の徳市が、頼りの耳で雨の音でどんどん聞こえなくなる、離れていってしまう好きな人の気配に耳をすます、その様子。私もいっしょに耳をすました。その前の福市が振り返るときに駆け出す徳市の足音が聞こえやすいようにかぶせてあったしね、雨の音、風の音、土を弾く車輪の音、音楽よりも自然の音の効果がたくさん聞けたのがよかった。
  • 気になってたタイトルの件ですが、カヴァー版は徳さんの恋心に少し重点が寄ったので、これなら「徳市の恋」でも偽りはないかんじ。エンドロールに「タイトル:麻生哲郎」って出てた。あーなるほど、ね。剛版徳市は徳大寺版徳市よりも感情表現が素直でかわいらしかった。素直に期待して、素直にがっかりして、素直に喜んで。わたし、徳さん、好きだな!むしろだいすきだー。

すてきな画、笑えるシーンがいっぱいだったので語り尽くせない。というわけでお気に入りなのでまた観に行こうと思うです。ちゃんとした映画館のでっかいスクリーンで観たい。


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