リボン/草野たき ★★★☆


進研ゼミの中三受験講座「中3チャレンジ組」に連載されていたもの。等身大で爽やかなお話です。

「先輩、リボンくださぁ~い」卓球部女子には、卒業式に先輩から制服のリボンを貰う伝統がある。人気があるのは、卓球のうまさよりも、断然彼氏持ちの先輩。試合も勝てず、彼女もいない池橋先輩に、亜樹はなぜかリボンを貰えなかった。部活も家族も友だちも「波風を立てないこと」をモットーに生きてきた亜樹の中で、今、何かが変わりつつある…。うつりゆく十五歳の気持ちをリアルに描いた一年間の物語。

月ごとに章立てされていて、わかりやすい言葉で亜樹の気持ちが綴られているので読みやすい。良質のジュニア小説です。後半ちょっと出来すぎな感はあるものの、これくらいの盛り上がりは必要なのかもなーと。こういう違和感の中でなんとなく学校生活を送ってる子ってのは多いんじゃないだろうか。中高生時代って、振り返ると微妙で、だけど輝いてて、貴重な時間だと思います。生きてる当時はそう思えないことも含めて。

「それって、どうやって見つけたの?」
「どうやってって?」
 お姉ちゃんは、家のほうへと歩き出していた。
「なにをしたら、自分が将来なりたいものって見つかるの?」
 亜樹はあわててお姉ちゃんのあとを追った。
「見つけるんじゃないよ。気づいただけだよ」
「気づく?」
 亜樹はますますわからなくなった。
「本を読んだり、テレビや映画を見たり、友だちと話してるときに、自分の気持ちがゆさぶられる瞬間をのがさないようにしただけ」
「じぶんのきもち……」
 亜樹はゆっくり返した。
「そう。わたしはこういうの好きとか、興味ないとか、おもしろくないとか、みんなうなずいてるけどわたしはうなずけないとか、とにかく自分の気持ちを注意深く見ててあげるの」
 お姉ちゃんは亜樹のほうをふりむくことなく、ずんずん歩いていた。
「そしたら、自分に気づける。なにが好きなのか。どうしたいのか。どんなふうに生きたいのか」


あ、進研ゼミといえばこれですよね。

面白すぐるw 私はZ会派だったんだけど、これ当時載ってたらぜったい進研ゼミだな。