FRAGILE/木原音瀬

才能あふれる部下・青池を嫌い、一方的に蔑ろにしてきた大河内。我慢の限界を迎えた青池は大河内に襲いかかるという事件を起こし、社を去っていく。目障りな存在がいなくなり安堵したのも束の間、ある夜、その青池が大河内の自宅で待ち構えていた…!拳銃で脅され、精液をかけたドッグフードを食べろと強要される。全裸で犬のように扱われる日々が始まった。

わーとうとう監禁調教ものに行き着いたよ。結末まで含め、がっつりでした。一冊前に読んだのもそうだったし、ほんとに木原作品には惚れ抜いて押しかけて、諦めるということを知らず、若干ホラー気味な執着を見せる攻が多い。青池にしたって、ただいびられた憎しみだけじゃなくて、好きって感情があったからこそあそこまでやっちゃったんだなって妙な説得力がある…こあい…。前半の表題作は大河内視点、後半の「ADDICT」は青池視点なので、心情を理解するにもおなかいっぱい。大河内のバイタリティにも感心するけどね。とにかく監禁フルコースでした。あとがきで「ここにしか行き着けないハッピーエンド」「(大河内は)性格はそのまま、愛が芽生えてます」って書いてたからそういうことなんでしょう。

「ひいっ、ひいっっ……」
 太腿やふくらはぎ、少しでも肉のついた部分は容赦なく噛まれ、血が滲むほど掻き毟られた。青池の暴行が去ったあとも、持続する痛みに大河内の体は細かく痙攣した。仰向けにした大河内の腹、内出血して紫色の噛み跡が残る部分をさらに指先で捻り上げ、青池は大河内の耳許に囁いた。
「家畜のように飼い殺してやる」
 カーテンから洩れる光の中に、男の顔が見えた。まるで泣き出しそうな顔をしている。自分の痛みの中に埋没し、大河内は目を閉じ震えた。