座頭市 THE LAST


 

http://www.the-last-1.jp/

舞台挨拶付き@品川プリンスシネマ15:15の回、観てきました。以下ネタバレ有り感想。



私は座頭市に思い入れもないし過去の作品もたけしさんのも観たことないくらいなので、なんとなくのイメージだけで臨みました。その結果、けっこう好きですこの映画。

  • オープニングの音楽がかっこいくてオッとなった。
  • 慎吾は細くて若い座頭市って感じで、笑わせどころが可愛くてうまかったです。特に誰かと二人きりの静かなシーンが好きかなあ。狭いとこで泣いてる五郎を慰めるシーン、おばあちゃんと別れの挨拶をする雪の道、賭場で昔の顔馴染み・政吉と静かに会話するシーン(ここ萌えたw)。あと玄吉さんはおとぼけうまいよねえ!さすがです。素直に笑った。
  • 肥溜め桶を運んでる二人が可愛くって、市が「五郎さん!五郎さん!」ゆうてるとこでは別のごろうさんを思い出してちょっとわらけたよね。辛いだけ・シリアスだけじゃなくってちゃんと笑いが(しかも真ん中に)入ってたのも私的には良かったです。
  • 斬り合いでは、トヨさんの旦那さん(達治)が殺されちゃう、ってとこに路地からすごいスピードで突っ込んで斬り倒したとこの鋭さが一番よかったな。あそこの獣みたいな動きと立ち姿は座頭市!て感じでお気に入り。
  • 逆にえ?てなったのは、天道との屋内対決での瞬間移動。なんでそこでその演出?って箇所がところどころあったですねー。
  • 嘆願書を届けるために騙されたふりをして雪道を行く市はほんとに悲しかった…。結局百姓にはなれなくて、弱い者に裏切られて、それでも役に立てるならとあえてその行き止まりの道を行く。哀れで、自分ではどうすることもできない、ヒーローじゃない座頭市はせつなかった。私はかっこいいものは別に求めていなかったので、ぐっときたんだけれども。
  • そしてあの最後、無慈悲に死ぬ場面まで描いたとこが好みだったり(「いた、いた」「やった、やったー」とトドメを刺した人はいらんかったと思うけどw恨みの連鎖を描きたいのはわかるんですけどね)。パンフとかインタとか何も読んでないので的外れかもしれませんが、あのラスト。きれいな市(=心象風景)はちゃんと海に辿り着いて入水して、先に死んだタネが迎えにきてくれるじゃないですか。手を引かれてそのまま死ねたら本望だったんだろうけど、ふと手が離れて、市は振り返るんですよね。そしたら砂浜に実体の自分は倒れてるわけで、結局本当のところは座頭の市は海に辿り着けず野垂れ死んだってことなんだなって私は受け取って。その終わりの描写が、容赦なくていいなあ、と思ったです。
  • それにしてもほとんどの人が死滅していた…五郎とおばあちゃんとトヨさんが助かっただけでもましなのか…。時代劇ってすげーなー。


舞台挨拶。

  • 慎吾と阪本監督だけの回だったんだけど、盲人協会の協力で実際に盲人のひとに会っていろいろ質問したって話をいっぱいしてました。鈴木さんて明るい座頭市みたいな人がお気に入りみたいで。卓球対戦をしたときに、「足が動いてねえよお」て言われて、「鈴木さん見えてるんじゃないですか?!」って座頭市みたいなやりとりがあったとか。和室に入るときはまず足の裏で畳の目の向きを確かめると部屋のだいたいの広さがわかるとか。あたりを探るときは、怪我しちゃうと物が持てなくなるから手のひらじゃなくて手の甲で探るんだって教えてもらって、それが映画の中でも生かされてるとか。そういう真面目な、ほおーと思える話が多かったので面白かった。
  • ポスターについて、刀を抜いたところか納めたところかが、親指を見るとわかるって。ポスターのは親指が開いてるから納刀のときの写真らしい(抜くときはぎゅっと柄を握ってる)。慎吾は「さっき見て気づきました」って言ってた。
  • 舞台挨拶が実は、「座/頭/市/ざ/ら/す/と」にあてはまる会場で行なわれてるとか。何その変なこだわりw 慎吾は「初めに企画聞いたときはなんだそれ、って思ったけど、「す」(品川プリン「ス」シネマ)まできた今となってはなんか感動してる。最後の「と」を書いたら僕泣いちゃうかもしんない(笑)」とか言ってて笑いを取ってました。次の豊洲(「と」よす)で最後らしい。