告白 ★★★★★

 

ある中学校の1年B組、37人の13歳がいる雑然とした教室。終業式後のホームルームで教壇にたった担当の森口悠子は「私の娘が死亡しました。このクラスの生徒に殺されたのです」と衝撃の告白を始め、教室は静寂に包まれる。
監督:中島哲也
キャスト:松たか子/木村佳乃/岡田将生/西井幸人(渡辺修哉)/藤原薫(下村直樹)/橋本愛(北原美月)


原作感想→ http://d.hatena.ne.jp/noraneko244/20090523#1243100454
いやー面白かった(というとやばい気もするけど)。松たか子すごい!!あの可愛い声で淡々と喋るとこはほんと迫ってくるものがありました。以下ネタバレ感想。





予告を見たときは、原作とかなり色味が違うのかなーと懸念してたんですが、実際観たらかなり原作に忠実で、かつ演出もうまくて、演技から登場人物の気持ちが伝わってくる素晴らしい出来(表現)でした。わたし、原作よりも映画が好きだなー。

  • 劇場を出るときに、「最後の一言がなーんてね☆ってのが軽かったよねえ」と感想を漏らしてる人の声が聞こえたんですが、私は真逆にとらえたんですよね。あの「なーんてね」には一番憎しみがこもってたじゃないかと。「ここからあなたの更生が始まるんです」のあとの禍々しい笑み、おまえが更生なんかできるわけない、更生なんかさせない、という痛烈な裏の意味を持った一言なわけですよ。しかも、奇しくも少年Aが嘘の演説をしたあと爆弾のスイッチを押そうとほくそ笑んで言ったのと同じ言葉。森口先生は元教師という立場にありながら、殺人者側と同じ側にまで堕ちて復讐を果たした、その憎しみがぜーんぶこもった一言。おそろしかったなー。「どっかーん」も凄かったけど。
  • 嗚咽したあと「馬鹿馬鹿しい」と吐き捨てたあの路上、あそこで先生は残っていた人間らしい心を全部捨て去ったのかな。それだけの覚悟をしたってことだよね。逆に言えばそれだけの覚悟をしないと、娘を殺された恨みひとつ晴らせないってことだよね。
  • 美月ちゃんの視点を挟んだことで、本来は常識的で信じられる大人であるはずの先生の本気度と怖さが倍増して迫ってきてこういう効果もあるんだなーと映画を観て唸りました。
  • 少年B役の子もよかった。叫び声のうまさと、髪がざんばらになったときの可愛さ。少年Aは原作から更に、クールさより幼稚な子どもっぽい部分が強調されていて、余計に憎くなるやら哀れになるやら。
  • 最後の爆発の演出、某模倣犯とは違って(笑)ちゃんと状況にそくしてたからすごいハマってましたね。小道具の逆回転時計もうまく使ってたし、少年Aの心が崩壊するのともリンクしてて、迫力あった。スカッとしてしまった、自分の気持ちがちょっと怖かった。AもBも、そして先生も、もうこの後まともな人生は歩めないと思う。それだけのことを、子どもっぽい甘えと無自覚とプライドのために、AとBはしたんだ。

そんなこんなで原作既読だった私にはすごい納得度が高い映画化だったんですけど。題材が題材だけに人によって捉え方が違ってくる映画だと思うなー。いろんな人の感想を読んでみたいです。