月神(ダイアナ)の浅き夢/柴田よしき ★★★

若い男性刑事だけを狙った連続猟奇殺人事件が発生。手足、性器を切り取られ木にぶらさげられた男の肉体。誰が殺したのか?次のターゲットは誰なのか?刑事・緑子は一児の母として、やっと見付けた幸せの中にいた。彼女は最後の仕事のつもりでこの事件を引き受ける。事件に仕組まれたドラマは錯綜を極め、緑子は人間の業そのものを全身で受けとめながら捜査を続ける。刑事として、母親として、そして女として、自分が何を求めているのかを知るために…。興奮と溢れるような情感が絶妙に絡まりあう、「RIKO」シリーズ最高傑作。

りこシリーズ3作目。テーマは冤罪、警察権力の横暴かな。かなり早い段階でうっすら犯人と展開がわかっちゃうのはいかがなものかと思うし、事件解決までの手掛かりと手順が雑だったような気がするけど、最後まで一気に読めたから面白いんだと思う。それにしても緑子が練と麻生の両方とヤっちゃってるのがすごいよね(笑) 麻生もボロボロだしさー。刑務所に入って、自分が練に味あわせた屈辱と苦痛を身を持って知って、かなりこたえたんだろうなあ。で、麻生と緑子が遠い京都でヤっちゃったことを即座に知ってる練がまじすごいと思ったw監視つけてるのww
冤罪を起こすのは怠慢や傲慢だけではなく、逆に、警察官の持つ正義である、というのが痛いとこだよね…。現場で働く警察官たちはそれはそれで事件を解決しよう被害者の無念を晴らそうと必死で、でも人間のやることだからどうしてもミスが出てしまう。それがないように石橋を叩きまくって捜査するのが麻生なわけだけど、そんな麻生でさえも、過去に練を冤罪に追い込んだことがあるという…。そのへんのテーマはすごく伝わってきました。そして最後に、緑子もとうとう十二年前の練の冤罪事件のことを練自身の口から聞こう、と決意して対峙する。というとこで終わってます。こ、こっから先が読みたいのに…。
練の側近で元刑事の斉藤の登場や、麻生に片思いしてた静香嬢の退場など、けっこう話も動いてた。高須が全然活躍しなかったのがかなしいw