アニメミライ2013 @新宿バルト9


http://animemirai.jp/
文化庁若手アニメーター等人材育成事業、の作品が劇場公開。マッドハウスの短編に中村さんが声優で起用されてるので観に行ってきました。色んな意味で面白かった。デスビリヤード、もっかい観たいなーと思ったら4/17の19:00(&4/22の06:00)、アニマックスで放送されるらしい!録画して保存しよっと。
http://www.animax.co.jp/program/NN10001456


以下ネタバレ感想。




上映順に。

キャスト:悠木碧(RYO)、寿美菜子(黒)、藤原啓治坂本龍馬)、茅野愛衣(お龍)、森川智之土方歳三

文化庁若手アニメーター育成プロジェクトアニメミライ」の2012年度で製作された4作品のうちの1本で、「LAST EXILE」「ブレイブ ストーリー」の千明孝一監督が幕末を舞台に描く時代劇。尊皇攘夷や倒幕などさまざまな思想・主義に日本が揺れていた慶応2年(1866年)。恩人である坂本龍馬中岡慎太郎を暗殺され、2人を守れなかったことを強く悔やむ少年RYOは、蝦夷江差沖にて座礁した五稜郭政府旗艦の上で土方歳三と対峙する。

これだけ尺を間違えてつくったんじゃないかと思うほどまとまってなかった。元々坂本や新撰組は手垢がついた題材だからよほどうまく切り取らないとオリジナルにならないのに、坂本が死んでからが主人公の大事なとこなのに、そのへんなんも描かれず、冒頭に返っただけで終わってる。説明不足だしダイジェストみたいだったかなあ。あと作画では人物の見分けがつきにくかったです(RYOとコンビだった黒は新選組に入ったってことでいいんだよぬ?)

  • 【アルヴ・レズル】ZEXCS

キャスト:福山潤(御影礼望(レム))、喜多村英梨(御影詩希)、日笠陽子(比良坂唯)、成田剣(堅洲世視)

西暦2022年、神経細胞を模した極微細無線通信装置「ナーヴセラー・リンカー・ナノマシン(NLN)」の完成により、人々は意識とネットワークをシームレスに接続することが可能になった。しかし、NLNの技術が思わぬ災厄を引き起こし……。アニメーターの吉原達矢が弱冠23歳で初監督を務めた近未来SF。

理系のひとが考えたんだろなっていうアイデアや設定満載で、一番私には書けない話だなあと思って感心した。面白かったし、導入部に戻るタイミングもRYOと違ってちゃんとしていた。ただ結局解明・解決はされてない最初の部分なので(でもちゃんとまとまってはいる)30分向けではない。続きが見たい感じ。文系の人間にはタイトルが覚えづらいのは致命的。


http://animemirai.jp/news.php?p=127

監督:立川譲、プロデューサー:角木卓哉、担当制作:三浦慧、キャラクターデザイン:栗田新一、プロップデザイン:小林系
キャスト:前野智昭バーテンダー)、中村悠一(男)、筈見純(老人)、瀬戸麻沙美(女)

OVAアラタなるセカイ」の立川護監督が、命をかけて行われるビリヤードに強制的に参加させられた2人の男の姿を通し、極限状態でむき出しにされていく人間の本性を描いた。

「ここがどこなのか、という問いにはお答えできません」
「これよりお二人にはゲームをして頂きます」
「ゲームは命をかけて行なって頂きます」
「そして、ゲームが終わるまで当店から出ることはできません」
強制的にルールを課せられた男二人。やがて剥き出しになっていく人間の本性。デスゲームの果てに待ち受けるものは?

30分で完結するショート映画をつくるならこうつくれ、というお手本のような作品。キューブ的な世界観かホラーが短編には一番はまる。
初め静かに軽めに入って、最後あそこまで持ってく中村の演技プランはさすがすぎる。中盤までは七転八倒芸(男の内心の葛藤と一人で暴走しちゃう感で引っ張るべき作品と思うので)がもすこし足りない?とか思ってたのに、あのラストで納得。おみそれしました。「不平等だからって、そんなの知ってるけどそれでも必死に生きた結果ここにきたんだ、なのに死を受け入れた人間にまだ嘘をつくのか、死んでからもそんな目に遭わされるのか、生きてきたばかにするなっ!」という泣きじゃくりながらの慟哭にこの作品のメッセージが詰まってて、かつ、バーテンが心を動かされ「お疲れ様でした」と抱きしめてくれたときに、作り手側はそんなみっともなくあがく人間に対する、だからこそそれだけでいいもんなんだ、たとえ浮気して恋人に刺し殺されていても、というあたたかい視線まで入ってる。で、それを最後の最後でじいさんの笑みで本物の悪もいるってことを示してシビアを再び見せつける。痺れるわー。途中の展開も飽きさせないし、作画もきれいだし、動きもところどころフックがあってよかったし。全体が人生の縮図になってて、タイトルの選定までかんぺきである。
どっちが天国でどっちが地獄に行ったのか。エレベーターの上に鬼とおたふくのお面があって、それがすなわち地獄と天国の暗喩なのか?どっちかっていうと乗り込んだ2人の性質って気も…だけど中村の男もまるきり善人てわけでもないしなあ。と、考えさせることができてる時点で正解。
ビリヤード台登場んとこのど派手な作画と演出好きだった。あと、最後に中村の男を拘束する糸も、ピアノの人形んとこで既に出てたことではまりがよくてうまかった。贔屓目を抜きにしても出色の出来だったと思う。
ほんと、中村の泣き演技よかったな。人をころしたあとの狂乱ぶりは真に迫ってたし、叫んでても耳障りじゃない。正統派に演技がうまくてやっぱり好きだわ。情けない部分を計算じゃなくもっと自然に出せればよりいい役者さんになると思う。まだ少し格好つけるとこがある。


キャスト:潘めぐみ(アッコ)、折笠富美子(ロッテ)、村瀬迪与(スーシィ)、日笠陽子(ダイアナ)、日高のり子(先生)

幼い頃から魔法にあこがれ、ヨーロッパの魔女育成名門校「ナノヴァ魔法学校」に入学したアッコだったが、退屈な授業と魔法界の保守的な体質に期待を裏切られる。それでも、なんとか魔法に夢を取り戻そうとアッコが奮闘を続けていたある日、学校でとんでもない事件が起こる。「新世紀エヴァンゲリオン」「天元突破グレンラガン」の作画で知られる吉成曜が監督。

冒頭ですびりのお面のこと考えててちょっと上の空でしたごめんなさい。走る作画が勢いあってかわゆだった。ぷりきゅあ的な感じがした。最後がこれですっごく和んだなー。藩ちゃんもうまかった!





中村が声優で出てなかったら見なかったと思う劇場公開なので、なかなか楽しかった。どの部分が若手が担当したのか、育成事業なんだからもっと若手の名前とか来歴を前面に出しても良かった気がする。それとも、わざとそういうのは出さずに作品の出来で勝負、現場での作業体験が主ってことなのかな。と思ったら、

<「アニメミライ」とは>
2010年度から始まった文化庁若手アニメーター育成プロジェクト。国内のアニメ制作プロダクションからオリジナルアニメーションの企画を公募し、選考の結果選ばれた4社が、未来を担うアニメーターを育てながら、約25分の短編アニメを生み出します。完成した短編アニメは新宿バルト9ほか、国内数カ所のシネコンで上映されるなど、多くの方にご鑑賞いただきます。短編アニメの権利は事業終了後、制作プロダクションに委ねられます。

なるほど、どっちかっていうと各制作プロダクションごとの裁量なわけだね。
ttp://d.hatena.ne.jp/alphabate/20130303/1362296408
http://animemirai.jp/youkou.php
このへんを読むと、意義は作品の出来だけではないんだな。これからも面白いアニメがいっぱい生まれますように!あと、よくネットを賑わしてるアニメーターの給料とか待遇面がほんとの話ならそっちも何とかした方がいいよな。

パッケージ販売は今のところACEで1000部限定> http://animemirai.jp/news.php?p=149