心が叫びたがってるんだ


 

言葉は人を傷つける――幼いころ、何気なく口にした言葉がきっかけで家族がバラバラになってしまった成瀬順は、突如現れた“玉子の妖精”にお喋りを封印する呪いをかけられてしまう。それ以来、トラウマを抱え目立たないように生きてきたのだが、クラスメイトの拓実、菜月、大樹と共に「地域ふれあい交流会」の実行委員に選ばれてしまった。さらには出し物に決まったミュージカルの主役にまで抜擢されて……。優しさゆえに本音を口にしない拓実、不器用だった過去の恋愛に悩み続ける菜月、甲子園を期待されながら肘を壊した大樹、それぞれが葛藤と苦悩を抱えながら成長への一歩を踏み出す、感動の青春群像劇。大ヒット映画「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」を生み出したスタッフが再び集結し、秩父を舞台に感動のドラマを繰り広げる劇場作品。

http://eiga.com/movie/81471/

試写会にて鑑賞。あの花のスタッフがつくったオリジナルアニメ映画。事前情報まるで入れずに行ったのだけど、スタッフが本気でつくったことはビシバシ伝わってきた。幼少時のトラウマ(呪い)で喋らず、行動もエキセントリックな主人公・順ちゃんを可愛く描くことに命をかけているwけっこうエグい設定なのに、その可愛さと、彼女を救う王子様男子=うっちーの声でうまく中和させていた。ただ、問題は、そんな王子様みたいな中学生男子は現実にはまずいない、ってことなんだよなーw アニメ映画として、楽しく観れた。
結末も、あそこで王子様と恋が叶ったんじゃどーしようもないので正しいと思う。野球男子がいきなり順ちゃんに告白したのはびっくり(いつ好きになったの?と思ったけど、たぶんあそこか、踏切のレストラン前で話してたとこ?)。王子様と結ばれなくても、他にいくつも出会いと救いが待っているから大丈夫だよ、という示唆のための告白であり、あの野球男子とどうこうなれるかというのが重要ではないんだろう。この映画の成績が良ければ、もっとアニメ映画が撮りやすくなるんだろうし、成功するといいなあと思った。中高生はきっと4人の誰かに共感できるだろうから、観て損はない気がする。

キングスマン

http://www.youtube.com/watch?v=ohOnGe6Cha8:movie;small

ロンドンのサヴィル・ロウにある高級スーツ店“キングスマン”の実体は、どこの国にも属さない世界最強のスパイ機関。“キングスマン”のエリートスパイ、ハリー(コリン・ファース)は、ブリティッシュ・スーツをスタイリッシュに着こなし、組織の指揮者アーサー(マイケル・ケイン)のもとで日々秘密裏の活動を行っている。ある日、チームの一員が何者かに惨殺され、新人をスカウトすることになったハリーは、街のチンピラ、エグジー(タロン・エガートン)に可能性を見出し候補生として抜擢するが、エグジーの父親もまた機密活動中に命を落とした“キングスマン”のスパイであった。そんな中、巷では科学者の失踪事件が頻発。その首謀者ヴァレンタイン(サミュエル・L・ジャクソン)は、前代未聞の人類抹殺計画を進めていた……。

スーツでスパイアクション、という予告に釣られてホイホイ見に行ったんだけど、それだけじゃなく、きがくるっててさいこーだったw もちろん、英国紳士の傘を使ったアクションシーンは文句なくすてきだったし、師匠と弟子的な交流と成長物語も楽しめるし(ハリー@コリン・ファースとエグジー@タロンがきゅーと!)、それだけで終わらせないインパクトが終盤に。映画模倣犯の規模でかい版かなw音楽効果もあって嫌いじゃない。
教会んとこでは思想があらわれてる(差別主義者はしね、みなごろしだー!的な)んかなと思って最初はうわー…てなったけど、終盤までとことんやったことで逆にポップに振り切れた。ただ結構ひとは選ぶかも、私はヒャッハー!てなったけどw なんだかすっきりした。

ピクセル


陽気なアメリカのおたく映画。なんか楽しそうで良かったwおとぼけ親友がいきなり大統領になってたり、おたくのくせにウィットな会話力に飛んでたり、エイリアンが物わかりの良いいいやつすぎてw突っ込みどころだらけだけど別にそんなこたどーでもいいんだw
3D吹替版で見てしまったので、へなへな喋る主人公の声がずっと気になってたんだけど(おたくだからたぶんそうしたのかな…)。キャスと柳沢慎吾だったらしく…うん…。

白河夜船/よしもとばなな


何度目かの、再読。今の気分にぴったりだと思ったのと、なんてことない記述なのに下記の部分を強烈に覚えてて読み返したいと思ったから(こういうのが現実に同じ会社にいたらぶん殴りたいのだけどw残念ながら真理だなあと思ってしまう)。やっぱばななさんは初期が面白い。あとがきを見ると、平成元年6月に書かれた本なので、もう27年前か。27年経って、まだ私に読み返されているという、物語ってやっぱりすごい。落ち込んでいたけれど、少しやる気が出てきた。

私はアメリカにホームステイに行ってしまったいとこの代理として3ヶ月間だけ、そこにいたのだが、つとめてバカのふりをしていた。別に本人が本当はおりこうさんなわけでも何でもないのだけれど、ああいう場所であんまり懸命に働くと、単に仕事が次々に増えて損をするのを知っていたので、手を抜いたのだ。単なる雑用のバイトが忙しくなるほど空しいことはない。私はずっと自分の回路を3分の1くらいしか開かずにぼんやり働いていた。おかげで遅刻はするし、間違うし、データを1行ずつずらして打ち込むし、白い紙をFAXで送ったりして、わざとではないがそういうことを3日に1ぺんくらいずつしていたら、誰も私にむずかしいことを頼まなくなり、えらく楽になった。

ハケンアニメ!/辻村深月

監督が消えた! ? 伝説の天才アニメ監督・王子千晴が、9年ぶりに挑む『運命戦線リデルライト』。プロデューサーの有科香屋子が渾身の願いを込めて口説いた作品だ。
同じクールには、期待の新人監督・斎藤瞳と次々にヒットを飛ばすプロデューサー・行城理が組む『サウンドバック 奏の石』もオンエアされる。ハケンをとるのは、はたしてどっち?
そこに絡むのはネットで話題のアニメーター・並澤和奈、聖地巡礼で観光の活性化を期待する公務員・宗森周平……。ふたつの番組を巡り、誰かの熱意が、各人の思惑が、次から次へと謎を呼び新たな事件を起こす! 熱血お仕事小説。

アニメ「SHIROBAKOが」面白かったので、アニメ業界を描いたお仕事小説ってあるかなーと検索して見つけ、読んでみた(図書館で、予約待ちかなり入ってた)。タイトルは、そのクールで覇権を取った一番人気のアニメ、という意味。王子も作中で言っていたけど、私もあまり好きな言葉じゃなくて(オワコン同様)。
テレビシリーズアニメ業界で働く3人の女性をリレー形式で描いていくお話(30代の深夜アニメプロデューサー、20代夕方五時子供向けアニメ監督、20代地方原画アニメーター)。シリーズアニメのつくり方から、関わりのある周辺事象(魔法少女、フィギュア会社、アニメ雑誌、声優、聖地巡礼など)まで。登場人物がアニメキャラ的で読みやすかった、そのぶん現実感はやっぱりないけれど。幾原邦彦さん(ウテナピングドラム)に取材したらしくて、王子に反映されてるのかな?と思ったり。面白く一気に読めたんだけど、終盤の締め方はちょっとふわっとしていたのが惜しい。

ここでフィギュア会社広報の逢里さん番外編が読める→ http://www.1puku.jp/novels/anohito/?dn=16

凍りのくじら/辻村深月

藤子・F・不二雄をこよなく愛する、有名カメラマンの父・芦沢光が失踪してから五年。残された病気の母と二人、毀れそうな家族をたったひとりで支えてきた高校生・理帆子の前に、思い掛けず現れた一人の青年・別所あきら。彼の優しさが孤独だった理帆子の心を少しずつ癒していくが、昔の恋人の存在によって事態は思わぬ方向へ進んでしまう…。家族と大切な人との繋がりを鋭い感性で描く“少し不思議”な物語。

もうだいぶ前の作品だからネタバレOKだと思うんだけど、延々主人公の内面世界の描写でそういう系かーと思ってたら、実は叙述トリックの話。お父さんの写真のサインイニシャルと、二人で写真を撮ってるシーンの描写で「ん?」とは引っかかっていたものの、トリックの設定の人物に嘘?の設定を喋らせてるのがちょっとずるいなあと思う。好きな女の子の話は、あれ、お母さんのことだったんだろうけど。元彼の不気味描写に気をそらせてたのはうまい。元彼がその後どうなったのか、郁也が回復する過程、は読みたかったな。メジャースプーンのふみちゃんが出てきたのは嬉しかったけど、まったく物語には絡んでないw 理帆子の内面に、共感できるようなしちゃいけないないような、今の私には身につまされる読み心地だった。ばななさんといい、藤子先生人気だなあ。

わたしの神様/小島慶子

視聴率低迷中のニュース番組「ウィークエンド6」の起死回生をはかるため、テレビ太陽きっての敏腕プロデューサー藤村は“女子アナ”キャスターのてこ入れに動いた。産休に入る佐野アリサの後任に起用したのは、全方位の好感度で不動の人気を誇るミスキャンパス出身の仁和まなみ。アイドルアナからニュースキャスターへと鮮やかな転身をとげたい彼女は、権力欲や保身に走る男たちや、敵意むき出しの女たちに晒されやがてスキャンダルの渦に引き摺り込まれる。
一番若くて一番きれいな女にだけ価値がある。描かれることのなかった“女子アナ”たちの嫉妬と執着と野心。一気読み必至の極上エンタメ小説。

「私にはブスの気持ちがわからない」で始まり、「ブスにも私の気持ちはわからないだろう」で終わる女子アナ・テレビ業界を舞台にした話。
人気女子アナまなみ、妊娠しそのまなみに立場を取られた地味アナ アリサ、地味アナ試験に落ち裏方ジャーナリストをしているきつめの才女 望美、まなみと同期で失踪したルイ、と4人の極端な(笑)女性を軸に、各人の心境がドロドロしっぱなしの物語。ここまでかつての職場のことをフィクションとはいえ露悪的に書けるのはすごいなって思う。それだけ女子アナの見られ方を考えてきたんだろうな。あと、女子アナドロドロに釣られて読むだろう男性社員へのパンチとか?これを面白そう、と思って読み始めた時点でまなみの信条を裏打ちしてしまったようで暗い気持ちになるw
どーせなら、ラストは派手にぶちまけて欲しかったな!てっきりルイが番組で全部言っちゃうのかとw ルイだけ設定が飛んでてちょっときれいげに書かれてるのがまたわかりあえない闇って感じがして。
人の痛みはわからない、私の痛みは私だけのもの、ってのは私の個人的心情とも合致するのだけど、それでもどこかで認めてほしい知って欲しいという部分があるんだろうなと虚しい…悲しい?読後感だった。この人たちも、世間の人たちも、みんな無自覚なのが恐ろしい。まなみだって、自覚的なようでいて実際は、容姿だけを基準とする男性ばかりなわけないよにあえてそこだけに価値観を置く狭い生き方を選んだわけで、自分の武器をそこだけに自分で決めてしまう、愚かな視野だなあと思った。旦那、父親、とまなみの先行きが暗雲しかないけど…そうとしか生きられない悲哀を感じたラストだった。

ぼくらは都市を愛していた/神林長平

デジタルデータのみを破壊する「情報震」が地球上で頻発している。原因はおろか震源地すら特定できない。あらゆる情報が崩壊し、機能を失った大都市からは人の影が消えた。
偵察のためトウキョウに進駐した日本情報軍機動観測隊は、想定外の「敵」と出会う……。

たまたま見たMMDで燭台切光忠刀剣乱舞のモデルが読んでいた(という設定)からというわけのわからないきっかけで知って借りてきた本。
あらすじにある軍人の綾田ミウ無人のトウキョウシェルターの視点(日記)と、賑わっている普通の東京で公安に勤める綾田カイムという男が腹部に通信用の人工神経網を設置され互いの考えを読み合い交信できる「体間通信」を得る時間軸が交互に語られる。綾田(男)のいた時代からの神経網システムが行き過ぎた未来がトウキョウシェルターなのかな?とか、ミウは子孫かな?とか色々考えながらその謎に引っ張られて読んでいったんだけど、結局、情報震の謎はわからないままだった(よね?)。綾田(あいでん)という読み方は、アイデンティティのことなんだろうし、ミウ=未有(未だ、有らず)、カイム=皆無、と名付け方もSFのお約束だねっとにやりとした。意外と字が大きくて読みやすいとは思うけど、それにしても、中年男性が書いた小説感がすごかったw ので、中年男性向けの物語なのだな、という気がした。

お前がバカを言い出す日には/日塔てい

 おまえになら処女をも捧げる覚悟なのにゴリラ呼ばわりってひどくねえ!?
バリタチの航は、片想い中の後輩・慎太から「ゲイかも」と打ち明けられる。慎太相手ならネコでもいいと思うほど、一途に想い続けていた航にとって、夢にまで見た告白だった。しかし慎太の好みは背が低くて細身の男。慎太より背が高くてがっしり男らしい体型の航はショックを受ける。追い打ちをかけるように男を紹介しろと迫られ、キレた航は慎太を襲ってしまい――!?

作者さん初コミックスらしい。読みやすかった。登場人物の友達カプへとつながっていく話は良いものだ…。やっぱ思春期の良平くんの話が読み応えあったかな。

寄越す犬、めくる夜/のばらあいこ

 

極めて、凶悪なW受。攻はお人好し一般人、受はクズのチンピラとヤクザの?オンナ?!!どちらもタチが悪くて手に余る、2つのカラダーーー。
 新谷くんは「カワイソウ」な奴に勃つんだろ
舞台はヤクザ経営のカジノ。バイトの新谷はチンピラのディーラー・菊池がやっていた横領に巻き込まれ、制裁を受けることになってしまう。制裁を命じるのは会長の?オンナ?・須藤。命令は「ビデオカメラの前で菊池を犯せ」。唐突な命令に硬直する新谷だったが、須藤にモノを咥えられ、泣きじゃくる菊池を犯すよう導かれーーー。闇社会に躍るドロドロ三角関係、開幕!

改めて見ると表紙がすごいw のばらさんこういうのうまいよぬ。登場人物が一見普通の皮をかぶった変態だらけで絶妙。須藤もヤバイけど呑まれてく新谷もヤバイ。これからどーなっていくのか…あんまいい未来見えないな……。私も菊池派ですよ今んとこは!須藤の来歴明かされてないからまだわかんないけど。タイトルに「犬」入ってるから、菊池が幸せになるといい…けどたぶんむり……。
CDも出てんだね、 (新谷亨) 興津和幸×中澤まさとも (菊池春真)・阿部敦 (須藤史哉)。

さよなら、セックスフレンド/クロオ千尋


話題のアートディレクター事務所ものw セフレからのスタートだけどなびきまくりで安心して読めた。狐の話も面白かった、私はわりと人外ものが好きだよ!

春を抱いていたALIVE 1巻/新田祐克

大河ドラマで岩城演じる信長が大ブレイク! それに便乗するかの如く香藤にも「信長」役のオファーが舞い込んだ。あざとすぎる企画に、即答をさける香藤。
そんなある日、小説家の佐和とテレビ局で偶然再会。ところが佐和の人格が以前とは豹変しており戸惑いを隠せない香藤…。一方、岩城は撮影現場で佐和の恋人である雪人と再会する。佐和の庇護を断ち切って、ADとして働く彼。いったい二人の間に何があったというのか…!?

やっぱ面白い!演技演劇系の話も好きなのでなおさら面白い。しっかりしてるようで揺れたり、でも問題を長くずるずる引き伸ばさないからもやもやせずに読める。ワンアイデアでいつまでも引っ張らなくていいのは、それだけ引き出しや書きたいことがあるからだと思う。長く続いてほしいシリーズ。

キスマイブラッド/海野サチ

表題作の吸血鬼の話は景気よく血流しててまあ良かったんだけど(笑)、他の単発3つのが好き。職をなくして居候の話と、やくざ囲いの同級生との再会の話と、結婚相談所の話。結婚相談所の先輩がいい味出してたw