モダンタイムス/伊坂幸太郎 ★★☆

 


うーん?お気に入りの「魔王」の50年後くらいの話で、安藤潤也も名前だけ出てくるし、超能力を持つ家系の安藤家を絡めてパソコンや検索を題材にした情報社会を描いたもの…で、こういう題材は大好きなはずなんだけど。タイトルの「モダンタイムス」はチャップリンの映画で、Wikiによると「資本主義社会を生きている上で、人間の尊厳が失われ、機械の一部分のようになっている世の中を笑いで表現している」とのこと。そのままだ。結末まで同じっぽい。帯の「検索から、監視が始まる」って煽りが、毎日まさに検索している私からしたら惹きつけられるものがあったんだけど、今回は読みたかったのとは違ったみたい。主人公の渡辺拓海が、わざとかもしれないけど個性がないからかなあ。ただの器っぽいというか。「魔王」は安藤兄や弟のひとりの人の話ではあったけど、この本は渡辺の話ではないんだもの。システムとか国家の説明に駆り出された感じ。「佳代子は何者だったんだー!」と「岡本猛がかっこいい」ってのは思って、その部分が楽しかったってのが実際のところ。
で、「播磨崎中学校 安藤商会 個別カウンセリング」で検索、やっぱりやっちゃいますよね?そしたらちゃんと「出会いすぎるくらい出会っちゃうサイト」が用意されていて、作品の試し読みができます。「国際パートナーホテル 渡辺拓海」「シャクルトン 井坂好太郎 岡本猛」でも検索したので、この検索が監視されてるとしたら、私は相当「ノせられやすい」「好奇心は猿をも殺す」人間としてマークされるかもしれない(笑)。